Interviewインタビュー
大中:さて、ここからはお仕事面について伺いたいと思います!
まず、なぜ消防士という仕事を選ばれたのか教えてください。
吉岡さん:最初は民間の企業に勤めていたんですね。そこが働く環境としてあまり良くなかったんですね。
元々、働きながら育児もしたいと考えていたんですけど、そこでそんな働き方をするのは難しそうに感じたんですよね。一般職ではなく、男性と同じように働きたいと思っていたので、そうすると公務員が選択肢になっていきました。その時に、知り合いが消防士になって、女性の方も働いているということを聞いて、志すようになりました。
大中:これまでどのようなキャリアプラン、ステップを経て働いてこられましたか?
吉岡さん:消防士ってちょっと特殊で、階級があるんですよね。それは試験を受けて年数ごとに上がっていくんですけど、それとは別でいろんな仕事があるんですよ。消防車に乗って火を消しに行く人や救急車に乗る人、署内で日勤といって事務の仕事をする人もいて、全部が消防士なんですよね。私は救急車に乗って、人を助けたいと思っていて、体のことや医療のことを勉強するのが好きだったので、まず消防士になりたいと思いました。当時はまだ女性が現場に行くことが出来ない時代だったので、火災予防の広報をしたり、事業所に行って、消火器とか火災設備がきちんと整っているのかを立入検査をする仕事をしてました。それでも、救急車に乗りたくて、勉強したり、体力錬成をしたり、大型の免許を取りに行ったりして、いつでも現場に出られるような準備をしてました。消防士の上の階級に消防士長があるんですけど、それに昇任して、救急車に女性が乗れるチャンスが巡ってきて、それと同時に救急救命士の資格も取って、7~8年救急車に乗っていましたね。ただ、それが24時間勤務で、妊娠したことで夜勤ができないので、日勤に戻り、今もずっと日勤です。一番下の子がまだ小さいので、もう少し落ち着いたらまた救急に戻りたいなと思っていますね。
大中:先ほど、転職して消防士になられたとおっしゃっていましたが、「働き方」という面から入られたのか、それとも「人を助けたい」という思いから入られたのかどちらになるでしょうか?
吉岡さん:どっちでもなくて、「役に立ちたい」っていう思いですね。前の仕事は営利目的で、自分の気に入ってない商品を売ってお金をもらうのが居心地が悪くて、それよりも人に喜んでもらえたり、必要としてもらえる仕事をしてお金をいただくほうが良いかなと思ったんですよね。「人を助けたい」思いには近いかもしれないけど、「ありがとう」って言ってもらえるような仕事が良いなと、当時は感じていましたね。
大中:現在の生活についてですが、リズムやスケジュールを教えてください。
吉岡さん:基本、月~金の9:00~17:30が勤務時間になります。今、大阪市内の職場に勤めていて、通勤に約1時間かかります。コロナ禍でテレワークが出来るようになって、それを活用しています。通勤するときのスケジュールは、朝4:00台に起きて、家事をして、30分から1時間は勉強など、自己研鑽に努めています。子どもたちが起きてきたら、ご飯を食べて、送り出した後、出勤します。9:00から始業開始して、16:00まで仕事をしています。今は子育て中ということで、1時間半の時短が出来る制度があるので、それを利用して帰宅します。17:30くらいからご飯の支度などをし始めて、晩御飯を食べたり、子どもたちの習い事を送り迎えしたりして、21:00くらいにみんなで寝るというようなスケジュールですね。
大中:救急救命士の時はどのようなスケジュールでしたか?
吉岡さん:救急の時は24時間勤務で、9:00~翌9:00まで勤務で、基本的に出動に備えています。その中でも、9:00~17:30まではしっかり勤務して、17:30以降は体力錬成を中心に、自分の時間として利用できます。23:00~翌6:00までは仮眠が出来る時間になります。起床後は、署内の掃除や引継ぎなどをして、帰宅する流れになりますね。その次の日は丸一日休みで、また次の日には勤務する形になります。
大中:男性が多い中で、体力錬成などをこなすモチベーションや意欲はどうでしたか?
吉岡さん:全く抵抗はなかったですね。消防士になれば、半年間消防学校に入って、同期生と一緒に勉強や訓練をするんですけど、しんどくなくて、楽しくやれてました。男性に交じって、走ったり、ロープ登ったりするのが、私は小柄だったので、意外とやりやすかったですね。消防士は体育会系の人が多いので、女子ラクロス部の人でも抵抗なく働いてもらえると思います!また、働き方という面でも、子どもを育てながら、男性と同じように働くことができているので、消防士担ってよかったなと思いますね!
大中:そうですよね。今でこそ、女性の復職率も高まってきてはいますが、男性と全く同じ仕事ができるかといわれるとまだまだ難しい社会なのかなと感じるので、しっかり働きたい女性には、消防含めていろいろな道があることを知ってもらえれば良いですね!
大中:これまで消防士として、苦労された話とそれを乗り越えた話があればお伺いしたいです。
吉岡さん:消防士のほとんどは高卒の方が多くて、国公立大学出身者も少なかったので、「自分は出来るタイプ」だと思っていたんですね。新人の頃に、出来ないのに出来る雰囲気を出しすぎていて、それを良しとしない人もいたんです。いつからか、自分自身で「出来る感」を出してしまっていたことに気づいたんですよね。それからは何をするにしても、新人としてふるまうようにしました。幸い、異動がそれなりにあって、人が変わるので、それほど引きずることでもなかったんですけど、最初の署では「かわいくない新人」だったんじゃないかなと思います。
大中:新人時代にどういった姿勢でおられましたか?吉岡さんがいろんな勉強をされたり、経験を積まれる中で、ご自身の中の芯として持っておられたものがありましたら、教えてください。
吉岡さん:自分の仕事に必死になりすぎて、周りが見えてない人が多いかなと思う職場なので、いろんな所にアンテナを張って、全部を習得することが出来なくても、一度首を突っ込んでみて、他の人がどういう対応をしているのかを見て学んでますね。もちろん、法令やマニュアルを読み込むこともしていたので、1人でやっていたこととしてはそういう感じですね。
大中:俯瞰的に物事を捉えるのは、仕事に限らずどの場面でも大切になりますよね。その俯瞰的な視野というのは、元々持っておられた力なのか、主将を経験されたからなのか、それとも新人時代の苦労話からなのか、どういったところから生まれたものでしょうか?
吉岡さん:基本、いっちょ嚙みしたいタイプなんですよね笑
それでも主将を経験して、部の全体を見たり、部員全体を見る癖刃付けさせてもらった気がしますね。
大中:そういった意味では、主将や副主将、会計など部には何かしらの役職や役割がありますが、そういったものを経験しておくことは大切ですか?
吉岡さん:絶対大事だと思います!最初は嫌かもしれないけど、やってみないと分からないこともありますし、自分を成長させるものなので、やった方が良いと思います!
大中:最後に23年卒の人たちに向けて一言いただけますか?
吉岡さん:「仕事だけが人生じゃない」ということを伝えたいです。
人間の生き方っていろいろあると思うんですけど、やっぱり体や心を壊してしまうとダメなんですよね。だからこそ、自分が心を安定させて出来る仕事が見つかればいいなと思います!
大中:いわゆるワークライフバランスも意識して、自分が良いと思える環境を探すことが大切ですね!
インタビューは以上になります。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!23年卒に向けて、良い記事になるように発信していきます!
吉岡さん:こちらこそありがとうございました!