Columnコラム

【JLAのコレカラ】JLA山田監事より協会会員の皆様へメッセージ|後半

JLA山田監事からのメッセージの前半では、「JLA理事会の雰囲気」、「財務面のポテンシャル」、「2025/26世界選手権大会@日本と2028ロス五輪を目指す経営」についてまでをお伝えしました。
今回はまた別の視点でメッセージをお届けしていきます。

一つの視点~官(公益性)と民(ビジネス性)

ご存じでしょうか。日本では空港などの公共インフラは従来、国・自治体(公共)が管理運営していましたが、公共が引き続き一定の権限を確保しつつも、基本的には民間に運営を任せることができるようになりました。民間経営ノウハウを活用して収益を稼ぎ、その収益を地域活性化等に回す「経営改革」のための仕組みです。「公益」性としての官の役割と、「ビジネス」性としての民の役割の両者の強みを生かして、人口減少やインフラ老朽化などにより衰退してゆく日本を維持・成長させるために新たな仕組みが導入されています。

スポーツ経営は公益性とビジネス性が混在! だから難しい

スポーツは、実は空港などのハード公共インフラと似た側面があり、ソフト社会インフラといえる部分があると思います。類似しているのは、公益的な側面を重視すべきことと、ビジネス的な側面を重視すべきことが混在している点です。例えば公益的な観点では、ラクロスというスポーツの普及、適切な競技ルール策定や安全安心なイベント運営などを重視すべきですが、ビジネス的な観点では、いかに稼いで、それを次の投資にまわしていくかという視点が重要になります。他の非営利団体の経営においても、その両面を行ったり来たりしている現場をよく目にするところですが、JLAの経営は、民間ビジネスの世界や純粋なパブリック(官)の世界以上に、答えのないソリューションを探る困難さと戦わなければならないのです。

法人化後実施してきたこと、これからのJLAの戦略

2018年6月の法人化後に実施したこととして、会員証の電子化、コンカー(経費精算クラウド)システム導入、熱中症対策ガイドライン化、ジュニアラクロスによる低年齢層への普及活性化、WEB(ホームページ)改訂、パートタイム職員化、日本代表遠征経費化などがあります。最近リリースしたニールセン社との連携は、個人情報に適切に配慮しつつ、データを生かしたマーケティングを実施していく取り組みです。
今後、JLAとしては、世界選手権大会の日本開催やロス五輪競技種目化などの可能性も見据えながら、他スポーツに比べて何が魅力的なのか、差別化戦略を研ぎ澄ませていくフェーズだと思います。ラクロスには、“大学から始められる”、“高学歴で就職に強い”、“グローバル”、 “地上最速の格闘技”など色々とイメージがありますが、これらを突き詰めるのか、違うものを創り上げるのか。スポーツ人口が減っていく中で、サッカー教室でさえプログラミング教室と競合する時代であり、親御さんからすると、わが子にどんな付加価値が提供されるのか、というシビアな目線をお持ちだと思います。一人ひとりの学生さんにおいても、ラクロスにより得られた差別化ポイントを突き詰めていくことは、社会人生活の中でも必ず有用なものになると思います。   
(参考)JLA 2020年 事業計画
https://www.lacrosse.gr.jp/association/planning-report/https://www.lacrosse.gr.jp/association/planning-report/

開拓者としてのベンチャー経営マインド

「私たちは開拓者だ。」とJLAの理念を掲げているように、JLAはスポーツ界のベンチャー企業だと思います。世界の中で衰退する日本経済を盛り上げようと、近年日本のベンチャー業界も奮闘していますが、まだ日本で知られていなかったこのラクロスというスポーツを、⼀⼈ひとりが⾃らの⼿で広めてきた(以下図表参照)というDNAを大事にしながら今後も開拓していくのだと思います。
ベンチャーといえば、柔軟でスピーディであること、新しいものを創って実行していくこと、そして人材が何より宝であると思いますが、JLAは優秀な事務局メンバーが揃っています。このコロナ非常事態において、朝令暮改覚悟でスピーディに議論をした上で、コロナ対応方針を2月27日から定期的にリリースしてきた動きや、NHKなどに取り上げられた異例のクラウドファンディングの取組みが一つの現れです。withコロナ時代において今後どのようにスポーツ活動を行っていくのかについても、日本中・世界中の皆の悩みを、JLAが動いて、学生と一緒に考えていくことが“ラクロスらしさ”なんだと改めて感じるところです。旧態依然としたスポーツ界において、「マイナースポーツの星」を飛び超えて「スポーツ界のロールモデル」と呼ばれる日は意外に近いかもしれません。


(参考)会員推移表

https://www.lacrosse.gr.jp/association/membership/

非ラクロス経験者として、守る、攻める

私個人としては、JLAの理事会等の経営の場において、「守りの策」として、ガイドライン策定・ガバナンス・労務・法務・財務等をしっかり固めていきます。これと同時に、「攻めの策」として、現場のクラブ活動等の実情に留意しながら、日本代表強化、普及、パートナーシップ、マーケティング・広報、戦略的人事、デジタル・スマート化投資等に関して優先順位とリソース配分を戦略的に検討していきます。このコロナ新時代において、私のヨソ者感覚と皆さんの多様性や専門性を掛け合わせることによって、開拓者JLAの未来にとって1ミリでも最適解に近づけることができるように貢献できればと思っています。

<プロフィール>
【氏名】山田雄一郎
【JLAでの役割】監事として、日本ラクロス協会のガバナンス・財務・その他経営全般を管轄
【生年月日】1982年6月11日(37歳)
【職業】インフラストラクチャー・官民連携分野のコンサルティング
スポーツ団体等非営利団体へのアドバイザリー(ガバナンス、制度設計、財務)
公認会計士
【趣味】二人の娘と週末遊ぶこと、海外旅行、フットサル

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