Columnコラム
みなさん、2020年7月にアイルランドで開催されるワールドラクロス・19際以下男子世界大会の派遣審判員選出用トライアウトが今夏開催されることをご存知でしょうか?
審判員のトライアウト・・・?と思ったそこのあなた向けに、今回のこのトライアウトはどんなものなのか、どんな準備をすればいいのかなどを日本ラクロス協会審判部の志水審判員より紹介をしたいと思います!
なお、今回の派遣審判員選出用トライアウトの応募の締め切りは2019年7月10日までとなっています!ぜひ挑戦されてみたい方はお早めにお申し込みください!
<トライアウト情報>
■参加申し込み期間
2019年7月10日(水)までに参加費の振込含め手続きが完了していること
■選考期間
2019年8月1日(木)~9月30日(月)
詳細はこちらのページをご覧ください↓
<志水審判員プロフィール>
【名前】志水 研太郎
【出身大学】獨協大学
【審判歴】国内審判員:26年目 国際審判員:21年目
【職業】製造業の生産管理をしています。
職業ではありませんが、ラクロスでは日本ラクロス協会理事、NPCメンバー、FIL Men’s Rule Committee委員、APLU Chief Officiating Officerも務めさせていただいています
-今回の審判員トライアウトについて
今回のトライアウトでは、World Lacrosse主催の世界大会とU19世界大会に派遣する審判員を決めるためのランク付けを目的としています。
今回の19際以下男子世界大会の場合は、アメリカ、カナダなど世界トップ6か国のBlue Divisionを主に担当する審判員と、それ以外の国のグループを担当する審判員を振り分けをする必要があり、それも兼ねています。
1998年までは審判部の中心を担っていた審判員が世界大会に派遣されていましたが、2002年の世界大会以降は、不公平感を無くすため条件を満たせば誰もがチャレンジできるようにしています。
ただ選手と違って合宿を経ての選考ではなく、対象試合での評価による一発勝負の選考となります。
-今回はどんな審判員がトライアウトを受ける事が可能か?
トライアウトに参加する資格条件は下記となりますが、有資格者の中でも日本を代表して世界にチャレンジしたい審判員に是非挑戦してもらいたいと思っています。
※参加資格および選考の優先順位
A:2019年8月1日時点でJLA公認男子競技1級資格保持者。
B:2015年以降のASPAC、European Championships、Berlin Open、Prague Cup、Ken Gallucio Cupへの派遣経験のあるJLA公認男子競技2級資格保持者。
C:ただしこれまでに19歳以下の世界大会も含め、4回以上世界大会に派遣されたものは対象外とする。
-試合にて実地査定ではどんな点を重要視して審査をするか
国内のトップレベルの審判員を評価するので、基本的なところができているかどうかはあまり大きなポイントではありません。
ですので審査にて重視するポイントは、ルール通りに判定をくだすことではなく、両チームにとって公平性が保てる基準を設定し、競技の面白さを発揮させるゲームマネジメント になります。
両チームのオフェンス/ディフェンスの戦術を理解し、見るべきところに見るべき時にプレーの動きと共にスムースに移動して適切な視野を確保していること、その上で後ろからのコンタクトでシュートやパスなどの選択肢にどういう影響があったかで判断するなどプレーを有利/不利の有無で判断しているか?、クロスによるチェックやボディコンタクトの位置、角度、タイミングなどの危険性をどのように判断しているか?がチームに明確に伝わり、試合を通して一定の基準を保っていることが重要なポイントとなります。
※選考内容
①書類にて第一選考
・参加にあたっての目標設定内容
・過去3年の全国大会派遣実績
・過去3年の地区大会派遣実績(2級のみ)
・2015年以降の育成実績
②対象試合にて実地査定(100点)
なお、英語力については参考程度とし本選考の評価としては用いません。
-今回のトライアウト応募者へメッセージをお願いします
皆さんに目指してほしいのは、2020年のU19世界大会だけに参加することだけでなく、2022年、2026年の世界大会に向けて世界でトップ5の審判員になってほしいと思っています。是非皆さんには決勝戦や3位決定戦などのトップレベルの試合で活躍をして欲しいです。
本大会中常に審判員として評価をされ続けるのですが、そこでいい評価を得られた審判員が決勝、3位決定戦に入ることが可能です。
日本の審判員がその試合に入るためには世界大会の審判員の中でトップ5に入らなければならないということです。
本大会は、そこまでたどり着くため重要な第一歩ですので、国内で勝つことだけでなく7年後のラクロスの進化を見据えた準備を取り組んでください。
これからできる準備についてを紹介すると、例えばルールの知識、審判マニュアルの深い理解、ルールとマニュアルを実行するためのフィジカル、そしてラクロスの進化に合わせた判断基準のアップデートをする必要があるかと思います。
MLLの開始、カナダやイラコイの選手のNCAA参入増加、カナディアンスタイルの普及、その次に来るのは小さ目のフィールドでプレーするPLLの影響、そういった変化、進化を意識しハイライト動画だけでなくフルゲーム動画を観て試合を観察したり、また審判員として海外遠征に行くなりして知見を深め、国内で実践し続けることで適切な準備ができると考えています。
世界大会で決勝のフィールドに立つ、、そこから見える景色は特別なものですよ。
-未来のトライアウト応募者へメッセージをお願いします
ラクロスが始まって30年が過ぎ、日本の審判員も2018年の世界大会以降世代交代が進んでいっています。
これからは皆さんの時代でもありますので、国内の枠に囚われず、色々なラクロスを経験していき世界大会にチャレンジしてみてください。
まずはどこかの大会に審判員武者修行に行ってみましょう!!
海外で審判員として活躍する大まかなキャリアパスは、
国内審判員として2級になる → Berlin OpenやPrague Cupに参加が可能になる → 国内審判員として1級になる → ASPACに参加が可能になる → U19世界大会に参加が可能になる → フル代表の世界大会に参加が可能になる → 世界大会のトップゲームに参加が可能になる という流れになります。
上記のキャリアは最短でいければ約10年程度かかります。
ただ世界大会で活躍する審判員になるには、審判だけを頑張っているのでは不十分です。世界大会に出場するためには約2週間の休暇を取得する必要があり、それを家庭や職場に認めてもらうための努力やネゴも同時に必要となります。
<今後の世界大会での審判員トライアウト情報>
2019年 2020年U19男子世界大会に向けてのトライアウトを開催
2020年 2021年女子世界大会、男女World Gamesに向けてのトライアウトを開催
2021年 2022年男子世界大会に向けてのトライアウトを開催
2022年 2023年U19女子世界大会に向けてのトライアウトを開催
2023年 2024年U19男子世界大会に向けてのトライアウトを開催
とこれから毎年トライアウトが行われる予定です。
是非たくさんの方が挑戦することを楽しみにしています。
Photo by Harry Mazaheri
日本ラクロス協会広報部 LACROSSE MAGAZINE編集部