Columnコラム
2024年11月9日(土)・10日(日)に行われる「日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会」の第1回戦に出場するのは、北海道、東海、関西、中四国・九州の4支部の優勝チームです。このコーナーでは各支部から出場するチームの見所をお伝えします。
第4回 中四国・九州支部(女子)からはSIRIUS
【SIRUS試合情報】
- 日時:2024年11月9日(土) 16:00~
- 場所:大井ホッケー競技場サブピッチ(東京会場)
- 対戦相手:NLC SCHERZO(関西支部)
日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会 特設サイト
※サイト開設後、お知らせいたします(LACROSSE MAGAZINE JAPAN編集部)
中四国・九州支部(女子)からは、SIRIUS(シリウス)が「日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会」に出場します。どんなチームか、見所はどこかSIRIUSの注目選手#30稲田明日香さんにお聞きしました。
SIRIUS集合写真(2024年10月19日撮影)
クラブ選手権には5回目の出場
SIRIUSが全日本クラブ選手権大会(以下、クラ選)1回戦に出場するのは、5大会連続5回目です。
【ラクロス全日本クラブ選手権大会 歴代出場チーム 中四国・九州支部(女子)】
※2020年:新型コロナ感染症の感染対策のためにクラブ選手権・リーグ戦とも実施せず。
※「1回戦戦績」欄の得点表記は、中四国・九州支部が左。クラブ選手権のHOME・AWAYではない。
※2016年~「九州地区(男子)」が「中四国支部」リーグ戦へ参加した。女子は2019年~。
※2021年~「中四国・九州支部」と名称変更。
※SIRIUS 5大会連続5回目
九州地区初の女子クラブチーム
SIRIUSは中四国・九州支部のなかでも2018年に九州地区内でできた女子のクラブチームです。
中四国支部(当時の名称)のリーグ戦へ初参加した2019年度にリーグ優勝すると、2024年度まで5連覇しています。
注目選手#30稲田明日香さんにSIRIUSの目指すところをお聞きしました。
「今年度チーム発足時に、チーム全員で『中四国・九州リーグ5連覇』ということを目標に掲げて、練習してきました」。
2024年度の目標を達成しましたが、次のステージであるクラ選1回戦に立ちはだかる「関西」の壁は厚く、上の戦績表を見ると、5大会連続1回戦敗退しています。何か対策はしているのでしょうか。
「『関西』というネームバリューに圧倒されずに、自分たちのラクロスをしよう、最後までしっかり戦い抜こうと思っています」。
MISTRALの選手を経験して
稲田さんは、2019年に福岡大学を卒業すると、配属先の千葉で、MISTRAL(ミストラル・東日本支部)へ入部します。
MISTRALで4年間プレーし、第32回全日本選手権大会(2022年)での日本一も経験しました。
翌年2023年に、仕事の関係で九州へ戻ると、稲田さんはSIRIUSへ入部します。
#30稲田明日香さん(2024年10月19日決勝戦にて)。2024年度の得点王です
MISTRALとSIRIUSで、何か違いは感じているのでしょうか。
「MISTRALとSIRIUSでは目指しているものが違うので、ギャップがあるのは当然だと思っています」。
MISTRALの選手は、「女子ラクロスの価値を高める」という理念があり、ラクロスだけでなく、仕事においても全力です。平日仕事があれば、その前後や合間にトレーニングを各自行ったり、動画を見てすり合わせをしたりしています。
一方、SIRIUSは、「九州地区の学生のために何かをしたい」という思いを優先させていると稲田さんは言います。
稲田さんも九州へ戻ってからは、九州地区の学生に還元したい、と母校・福岡大学のコーチも務めています。
「自分が持っているものをすべて還元したい。そのためには自分のレベルアップも必要不可欠なので、学生に混ざって負けじとプレーしています。(笑)」(稲田さん)。
「自分が持っているもの」。
稲田さんにとっては、社会人になってから日本のトップチームの一つであるMISTRALでの経験と、大学3年生のときの2017年度女子22歳以下日本代表選手(以下、U22)での経験のことも含まれています。
SIRIUSの魅力
稲田さんが思うSIRIUSの魅力は「いろんな年齢層の人たちとのラクロスを楽しめるところ」だと言います。
2024年度は社会人1年目の選手や、創部当初からのベテラン選手、稲田さんのように中堅選手と様々な年齢層の選手がいます。新人がチームを引っ張ることができる、のびのびとした雰囲気のチームであるところが魅力です。
稲田さんによると、SIRIUSの勧誘イベントとして、毎年クリスマスシーズンに「クリスマスカップ」を開催し、大学生と交流しているそうです。対戦形式は、SIRIUS選手と大学生選手との混合チームを作り、ミニゲームをするというもの。
大学生と交流し、チームの雰囲気を知ってもらうことがチーム存続とチーム強化にはとても大事だと分かる一例です。
大学生と社会人の交流で言うと、卒業してすぐの稲田さんが、東京で数あるクラブチームのうちMISTRALへの入部を決めたのは、自身が大学生のときのU22活動でMISTRAL選手と話す機会があり、その選手たちの雰囲気がよかったからだと言います。
九州も広い
一言で「九州地区」といっても、SIRIUSとCierra(シエラ・2022年創部)は福岡で活動しており、福岡以外にクラブチームはありません。
SIRIUSメンバーのなかには、佐賀や大分から通うメンバーもいます。
#15ドローを上げる姫野新奈さん。佐賀から福岡へ通っています。決勝戦のMVPです。
更にリーグ戦となると、中四国会場へ大移動をします。
「SIRIUSは中四国支部のリーグ戦に参加させてもらっている立場なので、広島や岡山への移動は構わないと思っています。試合会場までみんなで、レンタカーで乗り合わせるなど移動には工夫もしています」(稲田さん)。
SIRIUSの練習場所や試合会場までの移動距離をもろともしないパワーを、東京会場の大井ホッケー競技場サブピッチで直接見てほしいと思います。直接観戦が難しい場合は、配信をご覧ください。
中四国・九州支部の現状
ここからは、SIRUSが所属する中四国・九州支部(女子)がどういったリーグ戦状況なのか、日本クラブチームラクロス連盟中四国・九州副本部長の所 珠加(ところ みか)さんにお話を伺います。
所さんはC-force(シーフォース)の選手でもあります。
日本クラブチームラクロス連盟(以下、クラブ連盟)本部は、選手が運営もしています。
閉会式での所珠加さん(一番右)
2012年に中四国支部において初めてクラブチームリーグ戦が行われたときに参加したチームは、CEREJA(セレージャ・愛媛県)とCURIOUS(キュリアス・岡山県/広島県)、C-force(シーフォース・広島県)の3チームがありました。
翌2013年にWonderful Alpha(ワンダフル アルファ・主に香川県)が加わり4チームに増えましたが、その後は開催年によって3チーム・4チームと変化します。
2019年に九州地区の女子クラブチームSIRIUSが創部し、中四国支部リーグ戦に初参加してからは4チームで推移、昨年2023年は過去最高の5チームでリーグ戦が開催されました。
「2023年度に増えたチームは九州地区のCierra(シエラ)なので、いま九州地区の社会人ラクロスが盛り上がっていますね」(所さん)。
SIRIUSと同じ2019年には、今回の決勝戦へ進出したVIVACE(ビバーチェ)も岡山大学OGたちにより創部されています。
創部年が同じ。 SIRIUSとVIVACEの対戦(2024年10月19日決勝戦にて)
四国でラクロスを続ける難しさ
新しいチームができ、活気に溢れているように思える中四国・九州支部ですが、2024年度は再び4チームでの開催となりました。
「四国に唯一あったクラブチームCEREJAが人数不足で休部となりました」(所さん)。
CEREJAは、主に愛媛大学と松山大学といった愛媛県にある大学のOGが所属したチームです。
2024年度も「ラクロスを続けたい」というCEREJAの選手は岡山や広島のチームへ移籍しました。
四国の大学を卒業すると、四国に留まるOGが少ないことがまず四国でラクロスを続ける難しさだと所さんは指摘します。
C-forceという大きな存在
所さんが所属するC-forceは、主に広島県で活動するチームです。
2007年創部で、中四国支部の第1回目のリーグ戦から出場している老舗チームで、所属する選手の年齢も創部時から在籍する40代から今年卒業した新社会人まで様々な上に、関東や関西地区でプレーしていたOGが入部するなど幅広いメンバーが揃っています。
また、中四国地区事務局次長の堀由夏さんを始め、事務局メンバーが多く所属し、中四国地区を支えるチームと言えます。
中四国地区事務局次長・堀由夏さん(真ん中。2024年10月19日閉会式にて)
「ここ5~6年は若手メンバーがインスタグラムに力を入れてくれて、転勤で広島県へ越して来た他地区出身のOGが入部を決めてくれました」(所さん)。
初のママさんプレーヤーの入部もあったそうですが、同世代(30代後半~40代)がいることをインスタで知って安心したことが決め手だったそうです。
所さん自身がC-forceでラクロスを続けているのは、「先輩も後輩も暖かいから」。
チームメイトといる居心地の良さと、練習の時は練習に集中するという温度感も合っていると言います。
大学生との交流はどうしているの?
C-forceの大学チームとの関りは、4月の新勧シーズンに、新勧試合の相手として大学チームと関わるところから始まります。
2024年度に参加した新勧試合は、島根大学、山口大学×山口県立大学(合同)。
また、中四国地区の学生連盟からの要請で、フレッシュマンキャンプの指導者として1年生と関わる機会があります。
月に1-2回は広島修道大学や広島大学などと合同練習をしているので、年間を通して、1年生から4年生までどの学年とも繋がりを持てているのです。
中四国・九州支部が開催する「クラブ交流戦」
中四国・九州支部としても大学生と関わる機会を作っています。
毎年、年明けと春の年2回開催される「クラブ交流戦」です。
クラブチーム側は、中四国地区だけでなく九州地区からSIRIUSとCierraも来てくれます。
九州地区でも2チーム合同で交流戦を行ったり、合同練習を行ったりして学生との繋がりを大切にしながら活動しています。
それぞれの地区でクラブチームの魅力を発信し、卒業後「一緒にラクロスしたい!」「このチームに入りたい!」と大学生に思ってもらえるように交流戦の工夫や日頃から繋がりをもつことが必要だと、所さんは言います。
九州地区のクラブチームの負担軽減策
九州地区の女子クラブチームは2チームとも新しく発足したため、「中四国地区のリーグ戦に九州地区から参加させてもらっている」という意識を持っています。そのため、現在のリーグ戦は中四国支部内でのみ開催されています。
九州チームの負担について、所さんも心を痛めているところです。
「現実的には、中四国・九州支部としてまだまだ一緒に開催することになると思うので、試合会場を九州へ近いほう(山口県や広島県)で開催する、ということが現実的な負担軽減策だと考えています。来年度から九州会場での開催も検討しています」(所さん)。
いずれ、九州支部ができる(男女とも4チームあることが条件)ことが理想ではありますが、中四国支部の現状も考えると無理をして増やすことよりも、いまあるチームを盛り上げることに力を注ぎたい、と所さんは言います。
SIRIUSの見どころ
最後に、中四国・九州支部から見たクラ選1回戦へ出場するSIRIUSの見どころをお聞きしました。
「SIRIUSは勢いとスピード感があるチームです。初参加から5連覇中。仲が良さも魅力です。応援よろしくお願いします」(所さん)。
「日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会」1回戦も熱いです。観戦と応援、よろしくお願いいたします。
(番外編)地区の活性化のために~審判という選択肢~
中四国・九州支部決勝戦の審判員(左から、福田さくらさん・水野史恵さん・大久保祐子さん・山田徳子さん)
各支部で笛を吹いてくださる審判員さん。「審判員」はラクロスを続ける選択肢の一つです。審判員の楽しさについて、中四国地区審判部次長(女子)・山田徳子さんからコメントをいただきました。
「ラクロスに関わり続ける道の一つが審判員です。仕事以外で、学生時代のように本気になれる場所があるというのは、とても幸せなことだと思っています。」
【チーム詳細】
- チーム名:SIRUS(シリウス)
- 創部年:2018年
- Instagram:https://www.instagram.com/sirius_lax/
【プロフィール】
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Photo・Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子