Columnコラム

日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会 準決勝特集~日本一を目指して東日本へ挑むクラブチーム(関西支部・女子編)~


2024年11月16日(土)・24日(日)に行われる「日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会」の準決勝に出場する4チームのうち、関西支部から勝ち上がったNLC SCHERZO(エヌエルシー スケルツォ)を紹介します。


第6回 関西支部(女子)からはNLC SCHERZO

【NLC SCHERZO試合情報】

  • 日時:2024年11月16日(土) 14:00~
  • 場所:ヤンマーフィールド長居(大阪会場)
  • 対戦相手:MISTRAL(東日本支部2位)

日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会 特設サイト

チケットはこちらから(Peatixサイト)

準決勝戦のライブ配信はこちらから


「日清食品presents第25回ラクロス全日本クラブ選手権大会」へ関西支部(女子)から出場しているのは、NLC SCHERZO(エヌエルシー スケルツォ)です。日本一を目指して、東日本支部リーグ2位のMISTRALと戦います。準決勝への意気込みと見どころをお聞きしました。


クラブ選手権大会には21大会連続21回目の出場

NLC SCHERZOは関西支部で、20連覇しているチームです(※1)。

ラクロス全日本クラブ選手権大会(以下、クラ選)へは、2003年に西日本支部リーグ2位で出場した回数を含めると21大会連続出場しています。

【ラクロス全日本クラブ選手権大会 歴代出場チーム 関西支部(女子)】(※1)

※2020年:新型コロナ感染症の感染対策のためにクラブ選手権・リーグ戦とも実施せず。
※1999年~2011年は準決勝と決勝のみ(1回戦=準決勝)。
※第1回(1999年開催)は東日本のチームのみ出場。西日本は2000年から出場。
※2014年までは「西日本支部」(現・東海支部のチームも当時西日本支部だったため現・関西支部リストの歴史に掲載)。
※2015年~「関西支部」([西日本支部という名前は消滅)。
※「1回戦戦績」欄の得点表記は、現・関西支部(西日本支部)が左。クラブ選手権のHOME・AWAYではない。
※NLC SCHERZO:2005年~。SCHERZO(2002年~2004年)からチーム名変更。
※NLC SCHERZO 21大会連続21回目

日本一に輝いた経験がある

NLC SCHERZOが21大会連続でクラ選へ出場した歴史のなかで、決勝戦まで進出したことが6回、第16回大会(2014年)では優勝をしています(※2)。

大学チームと日本一を争う全日本選手権大会(以下、全日)では、第22回大会(2011年)で優勝、第25回大会 (2014年)で準優勝しています。

全日で優勝した2011年はクラ選では準優勝だったのですが、当時、クラ選1-2位と全日本大学選手権(以下、全学)1-2位のチームが出場する形式だったため、NLC SCHERZOは全日準決勝で全学1位の関西学院大学と対戦し6-4で勝利。全日決勝戦ではクラ選1位のFUSIONと対戦、10-5で勝利し日本一となりました。

【ラクロス全日本クラブ選手権大会 NLC SCHERZOの準決勝・決勝 戦績】(※2)

※2020年:新型コロナ感染症の感染対策のためにクラブ選手権・リーグ戦とも実施せず。
※1999年~2011年は準決勝と決勝のみ(1回戦=準決勝)。
※「準決勝戦績」欄の得点表記は、現・関西支部(西日本支部)が左。クラブ選手権のHOME・AWAYではない。
※NLC SCHERZO:2005年~。SCHERZO(2002年~2004年)からチーム名変更。

新旧ラクロスが織りなすパスワーク

#34藤原万里子さん

今年で主将4年目という#34藤原万里子さんにNLC SCHERZOの見どころをお聞きしました。

「年齢層の幅の広さが作り出すダイナミックなプレーですね。新卒の若手から40代ベテランまで、(クラ選へ出場するチームのなかで)これだけ年齢層があるチームは東日本のチームでもないと思っています。また、パスワークが優れているのもNLC SCHERZOの売りです」。

パスワークの技術の高さは、新旧ラクロスが織りなすものだと藤原さんは言います。

若い選手の勧誘成功の秘訣

新旧の「新」として、NLC SCHERZO には2024年4月に新社会人となった若手メンバーも入部しています。

勧誘はどうしているのでしょうか。

NLC SCHERZOには大学チームのコーチをしている選手が多くいるので、合同練習のときが肝だと藤原さんは言います。

「この時期(10月末)、大学チームは新チームになるころなので、引退する4回生に、『卒業したら会社勤めするの? 大学院へ行くの?』などとフランクな会話のなかで、堅苦しくなく勧誘しています。その成果が出たのが今年だと思います」(藤原さん)

「若さゆえ」を前向きな言葉でフォロー

2024卒メンバーの一人、#17平井花林さん

関西支部決勝戦では、先制点を対戦相手であるChez(チェス)に決められ、第1Qは2-2、第2Qでは1-2とNLC SCHERZOがビハインドとなるシーンも見られました。

「20連覇が掛かっていることも、『負けたら終わり』という状況もプレッシャーになっていたと思います。スタメンには若い選手も多かったので、緊張感があったのかもしれません」(藤原さん)。

後半からはNLC SCHERZOらしい展開となり、第3Qでは3-1、第4Qでは5-0、結果11-5でNLC SCHERZOが勝利したのですが、流れが変わるきっかけは何だったのでしょうか。

「しっかりマイボールにできたら、点を取れるんだからマイボールにしていこう、という前向きな声掛けを心掛けました。ポゼッションできたら強みが出せるよね、勢いのある1:1で攻めていこうと話していました」。

2024卒メンバーの一人、#18石井穂佳さん

東日本の球際の強さは関西にない

球際の強さ

クラ選準決勝では東日本支部のチームと対戦します。意識していることはなんでしょうか。

「東日本チームの球際の強さは関西にはないものだと思います。東日本のチームはグランドボールを取るのに、2枚3枚付いてきます。フィジカルの強さもあります。NLC SCHERZOとしては、球際の強さをチーム内でもしっかり上げていこう、特にグランドボールを強化していこうと話しています」。

球際の強さを強化するために、関西地区の大学トップである同志社大学・立命館大学や東海支部のクラブチーム・SELFISH(セルフィッシュ)と試合や合同練習するようにしてきました。

大学生ならではのスピードはNLC SCHERZOにないものなのですし、他支部のクラブチームとは、カラーの違うラクロスを対戦することで自分たちに足りていないものに気づかされる、と藤原さんは言います。

若い選手側に一旦は立つ

若い選手の活躍(#14松田阿布羅さん)

日本一を目指すチームの主将として気を付けていることはなんでしょうか。

「コミュニケーションですね」。

選手の年齢層の幅広さをポジティブに捉えるために、藤原さんはベテランと若手選手との間に入るように気を付いていると言います。

「一旦、若い選手側に立つようにして、若い風、若い感受性を吸い上げるようにしています」。

若い選手が年上の選手に言いづらいことを、藤原さんが汲み取り、歩み寄りベテランに伝えていきます。

ベテラン組の一方通行にならないように気を付けてチーム運営をしているのだそうです。

進化し続けることができるラクロス

日本一を目指し続けている「NLC SCHERZO」で藤原さんが選手を続けている理由はなんでしょうか。

「ラクロスの技術に終わりがないと思うから続けています」。

ラクロスを始めて17年目、ずっと進化し続けることができるスポーツがラクロスだと藤原さんは言います。

「スティックも発展しているので、自分の頭で思い描いたことが実現できる。技術が伸びていくんですね。成長曲線があるから続けていられるんだと思います」。

関西のチームで東日本を脅かしたい

それともうひとつ、「関西のチームで東日本を脅かしたいから」と藤原さんは付け加えます。続ける原動力に「チームへの思い」があるのです。

2014年にNLC SCHERZOがクラ選で優勝したとき(※2)、藤原さんは入部3年目でした。

「あの時の景色を若い選手にも見てほしい」。

2011年の全日優勝のときは、藤原さんはまだ大学4回生で、NLC SCHERZO入部前でした。「こんなすごいことができる人たちが関西にいるんや」と思ったそうです。

土日祝は練習し、平日もフィジカルトレーニングや栄養管理、メンタルの部分でも専門家についてもらいながら、10ヶ月間ラクロスに集中します。

「大学生のときに見ることができなかった全日本選手権という景色を見ることができる場所がNLC SCHERZO。だから、わたしはNLC SCHERZOでラクロスを続けているんだと思います」。

#10井倉涼子さん

ラクロスで犠牲にしたこともあったけれど、それにふさわしい充実感があった

ここからは、2023年に現役復帰した#10井倉涼子さんにお話を聞きます。

なぜ引退をし、そして、なぜもう一度NLC SCHERZOでラクロスをしようと思ったのか。関西だけでなく日本のラクロスを牽引し、多くの選手に影響を与える井倉さんのラクロスへの思いをお聞きしました。

「引退は、結果が出ないときが続いたので(※2の戦績表より、2016年からクラ選準決勝で敗退している)、チームを長く存続させるためには、一度世代交代をしたほうがいいと思ったからです。もちろん自分としても、もういいかなと思ったこともあり引退しました」。

2018年に引退してから4年間、ラクロスから離れましたが、井倉さんは2023年に現役復帰します。

「戻れる場所があって、自分ができるうちにもう一度ラクロスをやろうと思いました。NLC SCHERZOの試合を観に行ったときに、選手たちの一生懸命な姿を見て、日常のなかで、こんなに一生懸命に何かをすることはないなと思ったことがきっかけです。ラクロスを続けることで、我慢や犠牲にしたものもあったけれど、それに代わる充実があった。勝ち負けに一生懸命になれる場所に戻りたい。年齢的にも迷っている時間がなかったので、復帰を決めました」。

生活の基準をラクロスに置く

復帰後の2023年も2024年も関西支部リーグ戦で得点王になっています。復帰してみて、まだまだできるものだなと感じられたのでしょうか。

「2023年はケガもあり、自分の力を出し切れないまま終わりました。自分が通用しないなら辞めるし、通用するなら『よかった』となるけれど、どちらも感じられなかった。消化不良だったので、2024年もやることにしました」。

復帰2年目の2024年、過ごし方で気を付けたことはあるのでしょうか。

「週末を1番いい状態で迎えられるように、生活の基準をラクロスに合わせています。平日に夜更かしないこと。とにかく疲れを残さないためにしっかりと睡眠をとる。そういう簡単なことですが、これが意外と難しいときもあります。トレーニングを増やしたとか、そういうかっこいいことじゃなくて」。

月曜日から金曜日までの生活のなかで土日の練習に響かないように、睡眠や食事に気を付けていると言います。

成果は出ているのかと聞くと、「いまを迎えている、というのが結果かも」との答え。関西支部リーグ戦で得点王(2023年度、2024年度とも)になって、チームも20連覇する場所に自分がいた、ということが日常生活で気を付けてきたことへの成果なのです。

充実感

一番気になるのは、井倉さんがラクロスへ復帰して「充実感」を味わえているのかどうか。

「一つの目標に対して、いろんな世代が集まって、一丸となって頂点を目指すということこそが充実感です。日常にないことですからね。離れてみて余計にそう感じます」。

「今日も勝ってよかったな」と味わえることが、もう充実感だと井倉さんは言います。

一生懸命やっている姿を観てほしい

ラクロスを続ける人が増えてほしい。

LACROSSE MAGAZINE JAPAN編集部は、クラブ選手権へ出場するチームを取材しながら、ずっとそのことを願っていました。

「ラクロスを続けてみてこれは良かった」という思いがあるなら聞かせてほしいと井倉さんにお願いしました。

「今しかできないことは何かと考えたら、自分にとってはラクロスだったので。ラクロスが好きで他のものでは代えがたいと思えたから続けています」。

同年代の人たちが、週末を利用して海外旅行へ行ったり、楽しんだりしている姿を見ると、うらやましいと感じることもあると井倉さんは言います。それでも、井倉さんはラクロスを選びました。

「クラ選準決勝では、この年齢(42歳)になっても頑張っている姿を観てもらいたいと思います。『自分も何かをやってみよう』と思ってもらえるきっかけになればいいなと思います」。

井倉さん自身がNLC SCHERZOの試合を観て、心を動かされて復帰を決めたように、自分の「一生懸命」が誰かの心に響いてほしい。井倉さんはそう語ります。

もしかしたら、ラクロスの試合を観たあと、ラクロスではない何かを一生懸命やりたい、と思う人がいるかもしれません。

「それでも、構わない」と井倉さんは言います。

何かしら人生のなかで心躍るもののほうへ自分も向かいたいと思うきっかけに自分がなれたら。そう思って、井倉さんは今日もラクロスに一生懸命向き合います。

 

関西地区の大学生や一度ラクロスから離れたOB・OGもヤンマーフィールド長居へ行って、直接NLC SCHERZOの試合を観てみてください。そして、選手たちの熱い心に触れてみてください。

「自分はこれがしたかったんだ」と思えるものが見つかるかもしれません。

会場へ行けないという方は配信がありますので、そちらをご覧ください。


【チーム詳細】

【プロフィール】

名前:藤原万里子

背番号:34 AT 主将

出身大学:2012年3月 近畿大学卒業

クラブチーム選手歴:2014年~ NLC SCHERZO

名前:井倉涼子

背番号:10 AT

出身大学:2005年3月 甲南女子大学卒業

クラブチーム選手歴:2005年~2018年、2023年~ NLC SCHERZO

 

Photo by 日本ラクロス協会広報部 中村真澄

Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子

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