Columnコラム
FPJとは、フレッシュマンプロジェクトの頭文字で、エフピージェイと読みます。
1998年より開始した公益社団法人日本ラクロス協会(以下、JLA)の事業で、新入生勧誘活動の促進・ノウハウの蓄積をするために、全国の学生連盟・事務局・指導者・加盟大学が連携を取る組織横断的なプロジェクトです。
2024FPJは、「みんなでお祭り騒ぎを巻き起こそう」を合言葉に活動しています。
本コーナーでは、2024FPJの活動を4回に分け連載でお伝えします。
第3回 チームを作り直すチャンス
2024年1月27日-28日に行われた「中四国地区のFPJ合宿」において、FPJ本部メンバーの一人、佐藤壮さんによるFPJ講習会が行われました。どのような内容だったのでしょうか。
新入生獲得という言葉
まず、中四国地区におけるFPJでは、「新入生勧誘」ではなく「新入生獲得」(以下、新獲。読み;シンカク)という言葉を使っています。新入生をラクロス部に入れるぞという意気込みを表すためです。この第3回では新勧のことを「新獲」で統一しています。
影響力のある立場の人が関わる必要性
「僕のことを知っていますか」
冒頭、参加者(主将と新獲担当)を前に講師の佐藤壮さんは尋ねます。
参加者が思い出そうとするなか、佐藤さんは自己紹介を始めました。
「僕は、JLA強化部長とJLAcademyコーチ、あとは立教大学女子チームのヘッドコーチをしています」
JLAcademyは指導者認定を行う組織なので、佐藤さんはコーチのコーチです。B級・A級指導者認定講習会を受講した大学生からは、「ああ、あのコーチの方だ」という反応が返ってきました。
佐藤さんは、人の話を聞く時に、目の前で話をしている人が「誰であるか(どんな立場の人であるか)」が重要と言います。
「FPJ講習会になぜ主将を呼んだのか」の答えになるのですが、どの立場(影響力の有無)の人が話しているかによって、FPJの大切さに耳を傾ける人数が変わってくるのです。
前年の2023FPJでは、新獲がチーム作りにとってどれだけ大切であるかを新獲担当にだけ伝えていたため、チーム全体で取り組もうという波が起こりませんでした。
「新獲って、その学年(新3年生)だけでやるものなんじゃないの?」
そういった意識を2024FPJでは取り除こうとしています。
なぜ新獲が必要なのか
佐藤さんは、新獲担当と主将に、新獲に対するイメージを絵で描かせました。
大学生が描いた「新獲」に対するイメージ図
「やらされている」と感じていたら悲しい顔や困った顔を描くし、「やりたい」と思っているなら笑顔やキラキラした表情を描きます。この講習会では、最後にみんなが「やりたい」と思えるものにします、と佐藤さんは話を進めます。
新獲といえば、こんな顔になるように
では、なぜ新獲が必要なのでしょうか。
部員数を増やすためというのはそうなのですが、佐藤さんは、「自分たちはどんなチームにしたいのか」を考えることだと言います。どうやって新入生に声を掛けるかといった方法論ではなく、もっと根本のところを考えることが新獲なのです。
チームを作り直すチャンス
「どんなチームにしたいか」を考えると、「どんな人(新入生)に入ってほしいのか」を考えるようになります。
今のチームは、入ってほしい人(新入生)が入りたいチームだろうか。もし、そうなっていなければ、どうすればそんなチームになれるのだろうか。
こうやって、入学式までに「チームを作り変える」作業をしていきます。
この「自分たちがなりたいチームは何だろうか」「そのようなチームになっているだろうか」を考え、なっていない部分があるなら、作り変えようというチャンスが目の前にあるのが新獲なのです。
新入生は「そのとき大学内で一番輝いているところ」へ集まるものです。
自分たちが思う良いチームとは何かを考えてみてください。
どんなチームにしたいかチームごとに集まって考える時間
主将からの質問
中四国地区では、ほぼ全大学チームの主将がFPJ講習会に参加しました。
参加している主将からの質問に、「自分たちは『中四国地区で優勝し、全国大会に出るチーム』になりたいのだが、現在そこまでの部員が揃っていない。入ってほしい人に入ってもらうにも、そんな部員がいないのにどうすればいいか」というものがありました。
「小さなことから変えればいい」と佐藤さんはアドバイスします。
いきなり「日本代表になれるような人を入れよう」というと現状とのギャップが激しすぎて気持ちが萎えてしまうから、これだけはやるぞというものを3つに絞るのもいいというアドバイスがありました。
次回は最終回です。講師として全国の主将会やFPJ講習会へ参加しているFPJスペシャリスト・國松拓実さんを紹介します。
中四国地区FPJ合宿参加者
研修前後で変わったことは?
松葉幸輝 |
講習を聞く前は、新獲よりは練習に時間を割きたいと思っていたけれど、新獲に本腰を入れようと意識が変わりました。これまでは、新獲をやらされている感がありましたが、練習のやり方を考え直すなど、チームを作り変えるきっかけになると知ったので、チームに帰って部員に「チーム作りの一環」として新獲に取り組もうと伝えようと思いました。 |
研修前後で変わったことは?
花田楓夏 |
チームに一番影響力がある主将という立場になって、新獲を使ってチームを変えていきたいと思いました。講習を聞くまでは、「新獲は新獲」とチームとは切り離して、「新入生を入れること」にのみ焦点を合わせていましたが、新獲がリーグ戦にも繋がることなのだから、新獲リーダーに一任するのではなく、みんなで取り組めるようにしたいと思いました。 |
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日本ラクロス協会広報部 LACROSSE MAGAZINE編集部