Columnコラム
FPJとは、フレッシュマンプロジェクトの頭文字で、エフピージェイと読みます。
1998年より開始した公益社団法人日本ラクロス協会(以下、JLA)の事業で、新入生勧誘活動の促進・ノウハウの蓄積をするために、全国の学生連盟・事務局・指導者・加盟大学が連携を取る横断的なプロジェクトです。
2024FPJは、2024年4月入学の新入生をターゲットにしており、コロナ禍の3年間 (2020年4月入学~2022年4月入学)で減少した新入部員を増やすために、「みんなでお祭り騒ぎを巻き起こそう」を合言葉に活動しています。
本コーナーでは、2024FPJの活動を4回に分けてお伝えします。
第2回 お祭り騒ぎの準備~中四国地区のFPJ合宿がすごい~
2024FPJを「お祭り騒ぎ」にするためには、各大学のFPJ担当だけではなく、主将やオトナも巻き込むことが必要であると、FPJ本部は発信し続けています。地区によっては苦戦しているところもあるなか、中四国地区はオトナがFPJに既に関わっていました。なぜ中四国地区ではスムーズにオトナを巻き込めたのでしょうか。
オトナ(事務局)の関わり
「オトナ」とは、FPJ本部・各地区の事務局・大学ごとのコーチやOBGなどラクロスに関わるオトナ全員を指しますが、今回は「オトナ」イコール「地区の事務局スタッフ」に絞って話をします。
先に行われた全国FPJ会議では、各地区のFPJ代表から「オトナ」に対して、「FPJに関わってもらう必要性」をうまく伝えることができない、という悩みが挙げられました。大学生が「オトナ」に協力を仰ぐのは難しいところがある、とFPJ本部メンバーが「オトナ」とFPJ代表を繋ぐ活動もしています。
そんななか、中四国地区だけは本部の力を借りることもなく、既に「オトナ」がFPJに関わっていました。
FPJ合宿がなぜ実現したのか?
オトナが関わったことによるよい結果として、「中四国地区のFPJ合宿開催」があります。
中四国地区は、2024年1月27日-28日に岡山県青少年教育センター閑谷学校(岡山県備前市)でFPJ合宿を行いました。合宿には、中四国地区の各大学のFPJ担当のほかに、各大学の主将、中四国地区のオトナも参加しました。
合宿の主催者は、FPJ代表の中原大輔さん(オトナ)と坂崎大輔さん(学生)の二人ですが、「主将」が参加する「宿泊を伴う(対面)」研修会にすることができたのは、中四国地区のオトナの「全面協力」があったおかげでした。
学生側FPJ代表の坂崎さんは、「主将もいるFPJ研修会を『対面』形式でやりたい」と中原さんに伝えたところ、オトナ側FPJ代表の中原さんからは、すぐに「やろう」という返事をもらえました。中原さんだけではなく、中四国地区のオトナは皆、坂崎さんが提案した「対面での開催」に賛同し、「主将」が参加している地区総会にFPJ研修会の日程を被せることで実現させました。
会場となった岡山県青少年教育センター閑谷学校。
会場の隣には、日本遺産の旧閑谷学校があります。
なぜオトナと学生の連携がスムーズなのか?
オトナ側FPJ代表の中原さんに、どうしてそんなにスムーズに話が通ったのか聞くと、
「中四国地区は、大学間の距離も、オトナが所属するクラブチームの練習に行く距離もとても長いんです。オトナがラクロスを続けるためには、どうしても大学生と連携を取る必要があります。オトナだけでラクロスコミュニティを作れなかった、というマイナス理由からの出発ではありますが、オトナが大学生にベクトルが向く土壌がもともとあったのです」
と、答えてくれました。
また、オトナにとっても、大学生の競技人口が増えると、卒業後クラブチームに入る人も増える。クラブチームに入る人が増えると、自分達が楽しくラクロスができる場が保たれる、とFPJは自分ごとだったのです。
「もともと『おせっかい』な文化も相まって、大学生とラクロスをするときに、先読みして、口出し手出ししてしまうのが中四国地区のオトナたちなんだと思います」(中原さん)。
右が中原さん。
主将の関りは既に9月から始まっていた!
中原さんは2023年からFPJに関わっていましたが、その経験から「主将が関わらなければFPJはうまくいかない」と感じていました。
2023年の反省を活かし、2024FPJは早くから主将に関わってもらおうと、2023年度リーグ戦が一旦中断する9月を利用して、各大学の主将を集めました。
「まだリーグ戦の途中だけど、来年のことを視野に入れるなら、今シーズンよい過ごし方をするほうがいいよね」と、リーグ期間の過ごし方とFPJとを結びつけさせ、「FPJ担当は、チームの真ん中にいる部員に就いてもらうように」とFPJ担当の人選に主将も関わるよう伝えました。
FPJ合宿に主将が参加したのは、早くからFPJの種を蒔いた結果だったのです。
このように、FPJ代表の中原さんと主将の連携がスムーズだったのは、中原さんが強化部次長として、3年ほど前から主将と関わっていたことも一因です。中原さんは主将や新チームを対象に「新チーム立ち上げ講座」や「コーチの頼み方講座」などを行って、中四国地区の大学生チームを支えていました。
強化部次長という立場が主将とFPJを繋げ、他地区が苦戦している「主将を巻き込む」ということが早くにできたのだから、中原さんは最初からFPJと主将を結びつけようとFPJ代表を引き受けたのかと聞くと、
「いいえ、数を増やすことが強化に繋がると考えているオトナが、部署関係なく動けばいいと思ってFPJに関わることにしただけで、強化部次長という立場のメリットは全く考えていなかったですね」。
との答えが返ってきました。
「でも、オトナで強化部次長である自分が、FPJに関わるということは、FPJを推し進める上で、とても良い状況だということに今気づきました。誰の判断も仰がずに動けるので、早く進められるし、FPJと主将を繋ぎ合わせやすい。今回の合宿がそうだったように、メリットはありますね」
「競技人口が少ない・オトナが少ない」というデメリットを、「つながりの強さ」や「判断の早さ」に変換したことで、中四国地区では、オトナ・主将・FPJ担当が参加する理想的な研修会を開催することができました。
次回は、実際に行われたFPJ講習会(FPJ本部・佐藤壮さん講師)の内容をお伝えします。
Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子
開催してみてどうでしたか?
坂崎大輔 |
僕が中四国地区のFPJ選任となってから、各大学に対してヒアリングを行いました。結果、FPJに4年生が関わっていないチームが多いことが分かりました。
4年生というと一番長くFPJに関わった学年です。その4年生、特に主将に新勧に関わる大切さを知ってほしいという思いから、今回主将も参加する「FPJ合宿」を企画しました。 開催にあたりこだわったのは、「対面」での開催です。画面越しより対面のほうが、熱意が伝わりやすいし、主将に刺さりやすいと考えました。 今回の研修会で、主将がチームのリソースを紙に書いて再確認し、新勧に関わる重要性を伝えることができたと思います。 主将が「なるほど」というようにうなずく姿を見ると、やってよかったと思いました。 いいイベントになったと思っています。 |
前回の記事はこちら
日本ラクロス協会広報部 LACROSSE MAGAZINE編集部