Columnコラム
※この記事は第二章となります。第一章を読まれていない方はぜひそちらもご覧ください。
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第二章〜審判としての人生、日本のラクロスの未来〜
世界の舞台で活躍するメンタル
第一章でもお話ししたのですが、私が初めて国際大会に派遣されたのは、1999年のU19世界大会のことです。その大会で私が初めて主審を担当をした試合はイングランド対オーストラリアの試合だったのですが、Good morningと挨拶できないほど緊張していて、他の審判の方に助けてもらった思い出があります(笑)あそこまで緊張したのはあの試合が最初で最後でしたね。
そのころ私はまだ26歳で、他の審判の方々はそれこそ自分の父親くらいの歳の方ばかりでした。その時感じたのは、年齢的なところももちろんあるとは思いますが、どこかで私のことを「子供扱い」しているような、そんな雰囲気でした。
イングランド対オーストラリアの試合中に、あるプレーをめぐるジャッジで私と一緒に吹いていたアメリカ人の審判との間で議論になったのですが、「俺はアメリカ人だから、こいつは日本人だから。」みたいな態度で話してくるのにとても腹が立ち、それが態度にも現れていたみたいなんですね。(笑)
その後審判アセッサーの方のからその態度を指摘されときにかなりしっかりと反論しました。それが今までの日本の審判員には見られなかったことだったのか、それからというものの今まで私のことを「子供扱い」してきた人たちが、私のことを「ひとりの大人」として見てくれるようになったんです。ただその時にも「その主張はいま私にするのではなく、試合中にするべきだ」という指導をいただき、それがその後のキャリアに大きく影響しました。
ラクロスに限らず、国際的な場において自分の意見や立場をちゃんと主張していくということはとても重要です。私の他にも多くの日本人審判員が国際大会の場で笛を吹くことがありますが、ジャッジの質はともかく、やはり「自己主張」という点についてはもっとできるんだろうなと思っています。
そうなると、審判としてのレベルの高さだけではなく、コミュニケーション能力、英語力なども問われるようになってきますね。
幸いにも子供の頃から家庭の影響で、英語に親しみのある環境で育っていた私にとっては、その辺りのハードルはそこまで高くなかったのですが、選手にしても、審判員にしても、やはり国際的な舞台で活躍していくためには、ある程度英語を用いてコミュニケーションが取れないといけないなと思っています。
日本代表という組織の今とこれから
人物紹介にも書いてありますが、私は審判員やJLA理事の他に、日本代表推進プロジェクト委員会(Japan National Team Promotion Committee、以下NPC)というものにも関わっています。
このNPCというものは、金銭面や人材面なども含め、日本代表の活動を着実に推進していくことを目的とした組織です。
2023年の日本代表活動の例だと、コロナ禍により国内外で実践的な経験を養うことが難しかったため、練習生を多めに抱えることとし、紅白戦を実施ができるようにしました。
日本代表活動は日本ラクロス協会の年間予算の20%近くが使われていますが、限られたリソースであることは間違いありません。そんな中でも最大限の成果を出していき、日本代表の取り組みを評価する役割でもあります。
NPCという役割は多くの場面で、「日本のラクロスのこれから」について考えていますが、その際、日本全体の技術育成面やルール面などより多面的に捉えるようにしています。
具体的には、2023年の3月に「日本代表プラクティスキャラバン」という取り組みをしましたが、「日本代表」の強化活動というのは、ただグラウンドで行われている代表チームの練習だけではなく、すべての会員がそれぞれの練習や試合で取り組む競技レベルの向上を指していると考えています。ですので、最も大切なことは国内のリーグが勝つだけでなく、よりエキサイティングなラクロスを目指し「驚き」を増やしていくことだと考えます。
ルール面についても、もっとラクロスのスキルが上達しやすいような競技設計を考えていく必要があります。現状のルールでは重要な試合になった時にどうしてもロースコアのゲームになっていきがちですが、ボールを奪うところから始まる得点前のプロセスの多彩さがラクロスの魅力になりますので、ショットクロックを導入すればその問題が解決するのかと言われれば、そんな単純なものではないと考えています。
あらゆる側面からラクロスを捉えて、日本代表が結果を残せるような土壌づくり、ひいては日本ラクロス全体の競技力向上を図っていけるように今後も取り組んでいきたいと思っています。
日々チャレンジ、失敗を恐れない
だいぶ大きな視点での話をさせてもらったので、この記事を読まれている方の中には「結局、僕たちはこれから何をしたらいいの?」と思っている方もいらっしゃると思います。
何よりも伝えたいのは「チャレンジをする」ことです。私も、審判員としての人生にとどまらず、ラクロスに関わる中で多くのチャレンジをしてきたからこそ、今の私があると思っています。それができるのがラクロスだと思っています。
ラクロスを通して自分の何かにつながることを日々チャレンジしていけば、ラクロッサーとしてだけでなく、社会人としても、家庭人としても、ひとりの人間としてプラスになっていくと信じています。
諦めなくていい。チャレンジし続けられる領域がラクロスにはまだまだたくさんあります。先駆者となれる余地がある環境だからこそ、より1歩トライして、プラスにしていってほしいなと思っています。
Text by ラクロスマガジンジャパン編集長 佐野清
【人物紹介】
日本ラクロス協会広報部 LACROSSE MAGAZINE編集部