Columnコラム
2025年度FPJ(以下、FPJ2025)は、「日本ラクロスを熱くさせる『主人公』になろう」を合言葉に活動を始めています。
FPJ2025の目指すところをFPJ本部メンバーのお一人佐藤壮さんにお聞きしました。
※FPJとは:Freshman Project(フレッシュマンプロジェクト)の頭文字で、エフピージェイと読みます。
1998年より開始した公益社団法人日本ラクロス協会(以下、JLA)の事業で、新入生勧誘活動の促進・ノウハウの蓄積をするために、全国の学生連盟・事務局・指導者・加盟大学が連携を取る組織横断的なプロジェクトです。
FPJは単年の話ではなく続いていくもの
FPJ2025全国会議キックオフミーティング(2024年11月30日撮影)
2024年11月30日、大阪倉庫(大阪市福島区)にて、FPJ2025に向けて「FPJ全国会議」のキックオフミーティングが行われました。
FPJ全国会議には、北海道・東北・関東・東海・関西・中四国・九州の7地区から、オトナ代表と大学生代表と二人ずつFPJ代表が参加します。
FPJ2025のオトナ代表の顔ぶれを見ると、2024年度で大学生代表だったメンバーが多く就任していました。
大学を卒業してもFPJに関わろうと思ってくれたのだということに取材をしていて喜びを感じました。
「これは、歓迎すべきことですね」。
FPJ本部の佐藤壮さんも言います。
歓迎する理由として、佐藤さんは以下の2つ挙げます。
一つは継続してくれることでFPJのノウハウが蓄積できること、もう一つは「いやだったらやらないはずなのに、やるってことは楽しかったんだろうと思います。もう一度、FPJをやりたいと思ってくれたことがうれしい」という感情。
『主人公』になろうの意味
FPJ全国会議でレクチャーをする佐藤壮さん(FPJ本部)
FPJ2025の数値的な目標としては、「5,000人」の入部者数を掲げていますが、それよりも大事な目標は、「FPJ」という文化を伝えることにあります。そのためには、一人ひとりが「主人公」であることが必要です。
コロナ(2020年~2022年)直後に話を遡らせると、コロナ後一年目のFPJ2023は、自分たちが対面での新勧を受けてこなかった大学生たちにとって、「対面での新勧」がどういうものか分かりませんでした。
佐藤さんを始めとするFPJ本部メンバーは、「対面での新勧」と「大学の枠を超えて協力し合う新勧」というラクロスならではの文化を伝えるために、全国を回り各地区のFPJ担当者にレクチャーを始めました。
そこから3年、学年の半分が対面での新勧を受けたことがある部員たちになったいま、一人ひとりが「主人公」になり改めてFPJに取り組もうというのです。
「FPJはラクロスという競技が上手いとか下手とか、キャリアとか1年生とか4年生とか関係なく誰しもが『主人公』になって、活躍できるということを言います。
『主人公』と『主役』は違います。
『主役』はドラマのなかで1人か2人だけですが、『主人公』は、自分自身がなんのために生きているか自分自身で決められるという禅語で、みんながなれるものです。
ラクロスの楽しみとは、試合に出て活躍することだけじゃないと思います。FPJを全力で取り組み楽しむこともラクロスの一つです。楽しんでいることを周りに見せると、周りに広がっていくと思います」(佐藤さん)。
イソップ寓話「3人のレンガ職人」
佐藤さんは、FPJセミナーの講師をするときにイソップ寓話「3人のレンガ職人」の話をするようにしています。
「レンガを積む」という同じ仕事に対するモチベーションの違いを表す寓話です。
旅人がレンガ職人に「何をしているのですか」と聞くと、一人目は辛そうに「親方に言われてレンガを積んでいる」と答え、二人目は「家族を養うために壁を作っている」と答えて、三人目は「歴史に残る大聖堂を作っている」と楽しそうに答える、というもの。
「やっていることはみんな一緒なんです。小規模チームでも大規模チームでもラクロスをしているという点では同じ。僕たちFPJはラクロスの未来を作っているんです。いまラクロスができているのは、過去に先輩たちがレンガを積んでくれていたからであって、今後10年もラクロスを繋げていかなくちゃいけない。FPJっておもしろいものなんです。FPJを楽しんで取り組むことが『主人公』になるということ。やらされているなんじゃなく、チャレンジすること、考えることが大事。本部はそれをお手伝いしていくので、みなさんも一緒にがんばりましょう」。
佐藤さんは、キックオフミーティングでこうレクチャーしたあと、最後に「僕個人の数値目標はいち不可思議(ふかしぎ。10の64乗)です」と大きな目標を掲げ、笑いを誘いました。
「去年はいち那由多(なゆた。10の60乗)に届かなかったので、さらに上のいち不可思議に目標を設定し直しました」。
なお、地球上の人口は約80億なので、そもそも那由他や不可思議に到達することは不可能ではあります。けれど、それくらい大きな目標を持って楽しく取り組んでもらいたいという気持ちの表れが、那由他と不可思議なのでした。
FPJ全国会議はオトナも大学生も楽しそう
指導者を巻き込む
佐藤さんは、日本ラクロスアカデミーというラクロスの指導者講習会で講師もしています。
日本ラクロスアカデミー指導者講習会では、新勧がチーム強化において大切なことである、とこれまでも伝えてきましたが、「新勧は部員がするもの」「オトナが関わってはいけないもの」という認識が指導者側にまだまだあるようです。
むしろ関わらなければならないとFPJ2025では伝えていくことがやるべきことと佐藤さんは捉えています。
また、新勧の年間スケジュールにおける重要度を上げることにも取り組もうと考えています。
「新勧活動はチーム強化において最もコスパがいいのに、入学式シーズン前に新勧活動より春合宿や練習を優先するチームがまだまだ多いんです」。
チーム運営のなかで新勧活動の優先順位をもっと上げるためにも、指導者に対し新勧の大切さを説き、その先にある「チーム全体」への浸透にまで持って行きたい、チームを根本的にいままでと違うマインドセットさせたいと佐藤さんは考えています。
4月の入学式に向けて、FPJ代表も各チームもいままさに準備に追われているところかと思います。「主人公」として“新勧”というラクロスを楽しんで、5月ごろには「チーム強化」と「自分自身の大学生活の充実」に繋がっていてほしいと思います。
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【プロフィール】
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佐藤 壮(さとう たけし)
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Photo・Text by 日本ラクロス協会広報部 岡村由紀子