Columnコラム
今年初めて日本代表として男子はBOXラクロスの世界大会に、女子は海外遠征に挑戦しました。本記事では、BOXラクロスの代表活動に関わる選手やコーチ、スタッフそれぞれが、どのようにしてBOXラクロスと出会い、練習と向き合ってきたのか、今の活動に懸ける想いについてまとめました。
1.強化試合の振り返りをお願いします。
3勝2敗という結果にはなりましたが、OF・DFともに国内活動で自分たちがやってきたことを発揮する事ができた遠征でした。もちろん、海外の選手の体の強さや大きさに圧倒される時間もあり、BOXラクロス女子日本代表としては本当に様々なことを体感・体験する機会となりました。BOX世界選手権への出場権はなかったものの、現地に行って強化試合をできたことに感謝しかありません。国内でラクロスBOX女子日本代表の活動をサポートしてくださった皆さま、強化試合を組んでくださった各チームの皆さまに改めて感謝申し上げます。
1試合目:vs Germany
初戦のドイツ戦は、私たちにとって初めての対外試合となったため、今までは知らなかったコンタクトのタイミングやオフボールの激しさなどを実体験しました。序盤はドイツに流れがありましたが、後半にかけて相手のコンタクトに慣れてきたことや私たちが勝負しようと思っていた運動量のところで巻き返し逆転し、9-6で勝利を収めることができました。
2試合目:vs Canada
そして私たちが大一番に掲げていたカナダ戦が2日目にあり、BOXラクロスの世界トップのチームとの差を大きく感じる試合となりました。パスのスピード・GBの強さ・コンタクトなどあらゆる局面を抜き出しても日本が優っているものはなく、はっきり言って勝負になりませんでした。ただ私たちとしてもカナダ戦に向けた準備をしてきていたので、0-24という結果となり「悔しい」という気持ちが何よりも大きかったですし、もっとBOXラクロスを上手くなってリベンジしたいと心の底から思いました。
3試合目:vs Ireland
第3戦のアイルランドとの試合は、体がとにかく大きくコンタクトも激しい、そしてゴーリーが大きいという点でなかなかシュートが入らず苦戦をしましたが、DFのプレッシャーや好セーブなどで失点を防ぎ、最終5-3で勝利することができました。試合が終わった後にアイルランドの選手と歌を歌い、サンセットのアウトドアのコートで国際交流をすることができたのはとても素敵な思い出です。
4,5試合目:vs Ontario U22 / vs Tri-city
第4戦目はOntario U22、第5戦目はTri-Cityといったクラブチームとの対戦となりました。私たちよりもBOXラクロスの経験はもちろんあり、勝負どころの強さやコンタクトの激しさなどは年齢関係なく、非常に学びの多い試合でした。私たちが半年間やってきたBOXラクロスとは深みが違い、スキルだけを見ると日本の方が上回っている部分も多いけれど、BOXラクロスならではのプレッシャーや精度・コンタクトなどで勝敗がわからなくなるということを経験する試合となりました。
女子日本代表は強化試合を5試合実施しましたが、BOX世界選手権が開幕する前にほとんどの試合が終了していたので、強化試合が終わった後はBOX世界選手権を観戦することができました。私にとっては、BOXラクロスを知り、さらに好きになる時間でしたし、世界大会という面白さを改めて実感する遠征でした。
4年後のBOX世界選手権には女子日本代表として出場し、世界と戦いたいと思います。
2.BOXをプレーして何を感じましたか。
・細かなスキルの重要性
・コンタクトの取り方、いなし方、タイミングの理解
・相手のリアクションをどう起こすか
・コート内でのゲーム状況の理解
この4つが私の中では新しい発見というか、BOXラクロスをプレーしたことでさらに考えるようになったことです。
「細かなスキル」といっても、狭いところでも扱える技術という話ではなく、どこにクロスを置けばロスなくプレーができるのか、シュートがより正確に打てるのか、パスが出せるのかなど、置く位置や構え方も合わせたスキルということです。狭いコートだからこそ、ちょっとしたロスがプレーの幅を狭めてしまうため、より効率的に効果的にクロスを使うことはとても大切だなと思いました。
「コンタクト」に関しては、“ただぶつかる”というのがBOXラクロスではなく、ぶつかり方・そのコンタクトのいなし方、そしてコンタクトのタイミングなど、本当にコンタクトの仕方にも色々工夫があります。100くらってしまったらやられるだけなので、くらいながらも次にそのパワーを使ったり、タイミングを外したりと戦い方はいろいろです。そこの頭がないと、そもそものプレーが始まらない(やられて削られるだけ)ので、常に考えながらプレーするようになりました。
「相手のリアクション」は狭いコートの中で優位になるスペースを作りださなければならないため、相手にリアクションをとらせてミスを起こしたり、ミスコミュニケーションを発生させたりする必要があります。そしてショットクロックもあるため、ただ受ける・ただ仕掛ける時間はロスになってしまいます。1つのプレーにどう意味をどう持たせるか、先にどう仕込むかなどもかなり重要だなと思いました。
「コート内でのゲーム状況」これは、ゴーリー合わせてフィールドに立っている6人・ベンチにいるすべてのメンバーがゲーム状況を理解して、プレーを選択することを意味します。特にBOXラクロスではコートが狭いということもあり、一人の選択ミスが失点に直結したり、ファールをもらったりしてしまうため、改めて自分のプレー選択の質を問われるなと思いました。間違えて欲しくないのはシュートを外すとか、パスミスをしないようにというスキルのミスの話ではなく、その時のプレーの選択をゲーム状況に合わせてすることが大切という話です。
3.これからの日本のラクロスはどうなると思いますか?
どうなるんでしょうかね。わからないです笑
「日本のラクロス」という括りが果たして必要なのかとも思います。フィールドラクロス・SIXES・BOXラクロスと様々なラクロスがある中、それぞれのフィールドで、各々がラクロスというものを極め・楽しんでいるという状況が私はいいなと思います。そういった選手が増えて、その中で化学反応が起きたりする、それが日本の良さになるのではないかなと思います。日本にいるラクロス選手のバリエーション・幅みたいなのが広がるといいですよね!
今は、1年間の大半で各大学・クラブチームのリーグ戦が占めていて、海外のラクロスを体験する機会やフィールドラクロス以外のSIXESやBOXラクロスにチャレンジできる時間が極端に少ないなと思います。私自身もクラブチームでやっているからここまでいろいろなことにチャレンジできているけど、学生だったらここまではできてないなとも思います。ラクロス界の1年間のスケジュールがもっと柔軟になり、そして自由になっていくと日本のラクロスはいろいろな方向に変化していくかもしれないですね。ラクロスと並行して他のスポーツをやる人が出てくるかもしれないですし、そこから先は未知の世界かなと。言うだけは簡単ですが、ラクロスというスポーツ・日本という国でそのような取り組みができるのかはわかりません。でも、そんな未来がきたら私は嬉しいです。
4.今回の経験をフィールドラクロスや自身のラクロスに活かせることはなんでしょうか。
細かいことについては二つ目の質問の回答にあるので、それをみてください!
追加するとしたら、BOXラクロスのメンタリティかなと。BOXラクロスは1試合で100回以上攻守が切り替わります。ゴーリーも大きいのでショットの成功確率もかなり低いです。ショットクロックもあり、ベンチに戻ってきたらまたすぐにフィールドに向かう…そんなふうに試合が進んでいきます。その中で一つのパスミスやシュートミス、DFのコミュニケーションミスを振り返っている暇はなく、次にどうするかを常に考えてプレーをし続けるというマインドセットが非常に大切です。あの時のあれが、これがと話すのではなく、次はこうしようの話がとにかく多いのがBOXラクロスのいいところだなと、誰も自分のミスなんて覚えてないんです笑
そういったメンタリティというか、マインドセットはフィールドラクロスでも活きますし、ラクロス以外にも繋がるものだなと思います。