Columnコラム
今年初めて日本代表として男子はBOXラクロスの世界大会に、女子は海外遠征に挑戦しました。本記事では、BOXラクロスの代表活動に関わる選手やコーチ、スタッフそれぞれが、どのようにしてBOXラクロスと出会い、練習と向き合ってきたのか、今の活動に懸ける想いについてまとめました。
1.強化試合の振り返りをお願いします。
1試合目:vs Germany
これが初戦にして、最も印象に残った試合です。現地に到着してからわずか9時間後に試合という厳しいスケジュールの中、最初こそ相手に勢い負けしたものの、しっかり自分たちのやってきたことをやり続けたことで最後に追い上げる事ができました。
日本のBOXラクロスは、世界に通用するんだと嬉しくなりましたね。
2試合目:vs Canada
強豪カナダとの対決。文字通り、手も足も出ませんでした。自分たちはまだまだ本当のBOXラクロスを知らないんだなと思いましたね。
中には4歳からBOXラクロスを始めて、今20年以上やってる選手もいて、そういった大ベテランの方々と試合が出来たことはとても貴重な経験になりました。
3試合目:vs Ireland
自分がアイルランドとのハーフということもあり、個人的にとても楽しみにしていた試合でした。ドイツやカナダと違って体がとても大きく、最初は適応するのに時間がかかってしまいましたが、ここでも自分たちのやってきたことをしっかり出し切り、勝つ事が出来ました。
4試合目:vs Ontario U22
これが最も苦しい試合でした。BOXラクロスにおいて鍵であるショットクロックのリセットが全く取れませんでした。課題が多く残る試合でしたが、そこが日本の弱さでもあったので、それを知れて良かったです。
5試合目:vs Tri-city
戦ってきた相手の中で最も体が大きく、最も吹っ飛ばされた試合でしたが、前の試合の反省も活かし、快勝することが出来ました。個人的に、この試合で、ずっと練習していた左手のスタンシューがようやく決まりとても嬉しかったです。
2.全試合を通して
世界で見れば体格が小さいと言われる日本ですが、スピードや切り替えの速さ、駆け引きなど、フィジカルとは別の方法で自分たちより大きい選手と対等、もしくはそれ以上の強さで戦う事が出来ました。
試合をすればするほど、BOX世界選手権に正式に参加できなかったことが悔まれましたが、4年後にはさらにレベルアップして、日本のBOXラクロスを世界に見せつけたいです。
3.世界各国の選手と試合をして何を感じましたか。
新しいことばかりで、とにかく楽しかったです。それはきっと、みんなも同じだったと思います。女子のフィールドラクロスにはない激しさやスピード感がとても好きでした。
中でも、この活動を通じて自分が最も変われたと感じたのは、「体の使い方」です。コンパクトに攻守する必要がある分、一瞬で爆発的な力を発揮することが求められます。そのため、ウドさん(HC 鈴木)に教わった古武術をはじめ、改めて人間の体の仕組みを学び、力を最大限に出せる走り方やクロスの構え方を身につけられたことは、私にとって非常に大きな学びとなりました。
4.主将として何を感じましたか。
今回の遠征では、主将として気負うことはありませんでした。全員がほぼ初心者ということもあり、誰かが特別に偉いという感覚はなく、文字通り全員で会話し、全員で戦ったと思います。私が主将として行ったことといえば、ファールがあった時に審判と交渉する程度でした。
しかし、それこそがこのチームの良さだったと感じています。それぞれが役割を持ち、国内活動組も含め、「誰一人として欠けてはいけないチーム」だったと強く思います。
5.今回の経験をフィールドラクロスや自身のプレーに活かせることはなんでしょうか。
ショットクロックが30秒という時間制限の中で、コンパクトに攻める必要があるため、小さな駆け引き1つで生まれる一瞬の隙も見逃すことはできません。パスを出す際の体の角度や、シュートを打つ時の足の出し方など、本当に細かな部分にこだわらなければ、チャンスは生まれません。そうした小さな駆け引きの技術を学べたことは、私のフィールドラクロスにも大きく活かされています。そのため、自分がコーチをしているチームにも「とりあえずBOXラクロスをやってみよう!」と促しています(笑) また、自分の強みであるフィジカルが、世界でどれだけ通用するのかを確認できたことも収穫でした。基本的にネガティブな私ですが、自分の武器が通用することが分かり、大きな自信につながりました。もちろんまだまだ伸びしろだらけですが、4年後のBOX世界選手権こそは正式に世界をボコボコにしたいですね。